剣盾ダブル/S15最終65位/鳥(奇)族

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はじめに

2月のランクバトルにて最終2桁を達成し、見事実績パンチ耐性を獲得した。

本編は使用構築と少し環境考察を混ぜた記事であり長ったらしいので適度に飛ばしていただきたい。

 

構築経緯

イベルタル 

2月15日現在の環境考察として、蔓延しつつあるザシアン主軸パーティ(ラプラスorバナコータス)に対抗して黒馬ドレックス、レシラム系が流行るのではないかと予想していた。黒馬ドレックスはザシアンを上から叩けるDMエースとなりえてラプラスフシギバナガオガエン全員に強く、レシラムは晴れに強く多少削れてもザシアンを受けられる。

実際に海外の大会では黒馬ドレックスがザシアン連中に優勝していたらしい。

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そこで、この2体に有利な伝説枠としてイベルタルを中核とした構築を組むことにした。

といっても、イベルタルはザシアンやカイオーガのような(少なくともこのルールで)絶対的エースアタッカーとなる伝説とは異なり、型次第で取り巻きの一般枠が大きく変わる。端的に言うなら、基本的な立ち回りでDMするかしないかということであり、DMする場合は主にCS振りで悪の波動、デスウイングを覚えさせてダイジェットで加速しつつ相手を上から倒すが、DMしない場合は主に耐久に特化してバークアウトとデスウイングで場に留まり続けて相手の行動を制限することになる。これらは努力値配分や技スペース、持ち物によるステータスの違いと仮想敵が違ってくるために両立しえない。

まず、DMする場合の型についてだが、どれも考察段階で安定して勝つには難しいと感じた。このルールではDMイベルタルを受けられる、いっそのこと倒せるポケモンであるザシアン、ポリゴン2、ガエン、オーロンゲ、レジエレキのいずれかが自然に多くのパーティに採用されているからである。

ザシアン…余程Sに振り切らない限りはダイジェット1回で抜かせないし、抜いても隣が高速高火力の炎地面かつ相手の追い風のない状況または熱風採用のCSでなければ縛られるという限定的な状況でしか勝てない。

ポリゴン2…もともと再生+トリルを使われてダイアークで耐久を下げても突破しづらく怪電波まで使える異才。耐久が高いのでDMしないアタッカーに削らせてかつトリルを消費させるという高等プレイングが必要になる。また、運用によってHDHBどちらに振るか分かれるので安定した処理が難しい。

ガオガエン…特別に気にする一般枠ではないが、イベルタルの悪技を受けに来るかつDMしていない隣に猫だましができ、あわよくば捨てゼリフでCを下げてくる。盤面に居座り続けるイベルタルのオーラとトリル系への打点として覚えさせている悪技がかみ合ってこちらが削れてしまう。

オーロンゲ…若干HD振りが多いのと壁+ソウルクラッシュがあるので「倒さなければならないのに倒すと裏から壁ありのエースが出てくる」状態になるので天敵。ウソ泣き+隣の特殊高火力打点に同時対応しなければならないためにバークアウトを打てる場合初手選出が強要されるのが重すぎる。

レジエレキ…エレキネットでDMイベルタルが上から叩ける盤面を作らせない動きができるのと10万ボルトである程度削れると突破される。なぜかDMできるので初手から珠サンダーを警戒しなければならないのは正直調整ミスだと思っている。

特段にイベルタルを意識せずとも採用されるこの5体がいないパーティはごく少数で、DMイベルタルを主軸としたパーティは苦戦を強いられること、今回の仮想敵の黒馬ドレックスとレシラムの構築について、黒馬ドレックスはそもそも悪対策エースを採用しているしレシラムはD方面が高い(し高くなる)イメージがあること、加えて跋扈するガオガエンと保険ゲーマーの影響で特殊火力がインフレしつつあることを考慮して耐久に寄せてバークアウトで弱体化しつつ後発のDMエースに繋げる後者の育成方針をとることにした。

 

バシャーモ 

先発にイベルタル、後発にDMエースを置く形にして、イベルタルは裏の起点作りでありイベルタルのDMはあくまで保険として使うことまで決定した。
ここで裏のDMエースに求める能力は単なる火力ではなく、場づくりができてしまえばほぼ勝てるというような継続的な火力または耐久力であり、加えて現環境とイベルタルの相性から考える条件としては、 

・未だ健在のザシアン系の構築(ラプラス、晴れ入り)に強く、
・ポリゴンガエンロンゲに有効打があり止められにくい
・オーラの影響を大きく受けない(イベルタル
イベルタルが呼びやすいレジエレキに弱くないまたはレジエレキに強い取り巻きと組みやすい
・同じ型のイベルタル構築と対峙したときに後発のエースであろうメタグロスに強い

ことが挙げられるが、これらをもっとかみ砕くと、

・タイプ上晴れやザシアンに強くラプラスにはDM技効果で対抗できる炎か地面
・格闘打点または火力が減衰しにくい負けん気、勝気、クリアボディ持ち
・悪技半減以下が望ましい
・電気技やエレキネットによるS操作に耐性がある
・鋼地面技が半減以下でできれば特殊の高火力打点

 

以上の条件の多くを満たすエースポケモンとしてバシャーモを採用した。
エレキネットなどS操作には加速+守るである程度対抗できることやイベルタルで多少削って不意打ちするなど対策がとれていて、イベルタルミラー構築では互いのイベルタルがC低下したまま残りやすいのでイカサマ+ダイバーンで処理が可能と判断した。

ザシアンへの打点さえ目をつむれば化身ボルトロスもあるが、負けん気があるのでわざわざ後発からイベルタルのサポートを必要としないので不適格。

 

取り巻き 

先発:f:id:lime-mint:20210301171027g:plain+何か → 後発:f:id:lime-mint:20210301170729g:plain+何か

補完枠@2 

肝心のバシャーモ本体の防御面と素早さが低く、レジエレキがボルトチェンジから再登場してエレキネットし続ける場合や追い風+追い風役の即退場の盤面になってしまった場合に切り返しが効きにくいことから、イベルタルと並ぶ先発役にはS上昇分を打ち消す耐久力またはS操作をさせない性能が必要になってくる。

要するに耐久力が高く、追い風やS低下で上を取りにくいと思わせるポケモンということで、ポリゴン2を採用した。硬くてトリックルームを使えることに加え、再生+怪電波で実質的な耐久を伸ばせるので本構築の先発としての役割を果たしやすい。

しかし一方で、ポリゴン2は基本的に守るを入れる余裕がなくメンタルハーブを持てないことから挑発を受けやすくまたタイプ上高火力の範囲技(潮吹き手助け断崖)で飛ばされやすい。そこで、トリルサポート役としてヘイト吸収かポリゴン2の耐久補助ができるポケモンを探したところ、猫だましで挑発を止められ、ポリゴン2が落とされた場合もグラカイを縛ることができ、裏2体の地面耐性をつけられる点からゴリランダーが選ばれた。

 トリルエースがいないとポリゴンが手持無沙汰になるか削られた後にダイジェットしながら倒されるとトリルを張るチャンスを失うこと、トリルを張ると3ターン経過するまでバシャーモは出せないことも考えるとやはりトリルアタッカーが必要になるところ、白馬ドレックスとコータスに相性有利でポリゴンの耐久を上げて2週目のトリルが使えるツンデツンデが適任だと思った。

残り1枠は晴れに極力強くしたいので化身ランドロスリザードンを上から倒せる非DM適性のある特殊地面は1匹しかいなかった。

 

パーティ

 

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個別紹介

イベルタル

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性格;ひかえめ @とつげきチョッキ
努力値; 252-0-4-20-36-196
技;ふいうち、イカサマ、デスウイング、バークアウト
調整;S意地ランドロス抜き
HD;DM黒馬ドレックスの控え目珠手助けダイフェアリー耐え+α

珍しくメタ的観点からの伝説枠。
基本的に先発で相手のDMを消費させつつエースを出させないための時間稼ぎや妨害を担当する。

今シーズンから解禁されたバドレックスは両方とも対策必須の伝説であり、イベルタル自身がタイプ相性上それらに強く、また一般枠で対策となりやすいガオガエンが急増したことから特殊技主体のエースがやや多い環境であるためにバークアウトが強化されていることから前世代よりはイベルタルは使いやすくなっている印象がある。

「DMしない場合は耐久に特化した~」とかほざいていたが、パーティにAデバフ成分が無くランドロスソルガレオに縛られている場面や見方殴りに上からイカサマバクアを入れたい場面が多かったためHS振りにしている。CDイベルタルの上からバクアが入れられチョッキで最低限の特殊耐久を確保でき、まさかの最速白馬ドレックスに轢かれないのはHB振りではできないはず。

イベルタルの強さは瞬間火力ではなく安定性と継続的火力にあると考えているため、DMしても悪の波動がない分技の威力は低いが気にしていない。実戦でもダイアークのD低下のおかげで十分に臨時エースアタッカーとして機能していた。

DM使用率は2割くらい。

  

バシャーモ

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性格;いじっぱり @しろいハーブ
努力値; 140-252-4-0-12-100
技;フレアドライブ、きしかいせい、いわなだれ、まもる
調整;HBD;DL対策、S準速60属抜き

構築のエースであり、ザシアンに最も強い一般枠。
ほぼ全試合で後発に置き、イベルタルが相手を縛っている状況かトリルターン残り2くらいで出してDMを切る。加速をうまく使ってトリル下で裏に戻した高速アタッカーを非トリルでも縛っていくのが理想的。

格闘技はH振りガエン倒すために起死回生(96%の乱数一発)にしている。インファイトだと乱数が90%強くらいであまり変わらないように思えるが、そもそもDMエースである以上(実際にも)インファイトを素で打つ場面が少なかった。ちなみに3度ほど最高火力の起死回生でブラッキーをワンパンしている。
岩雪崩は天候切り替えとホウオウ対策、ガエンのために1行動すべてを割きたくないので採用している。
DM使用率は約3割。

 

ポリゴン2

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性格;ずぶとい 特性:トレース @しんかのきせき
努力値; 252-0-228-0-4-20(4余り)
技;イカサマ、かいでんぱ、じこさいせいトリックルーム

相手の低速ポケモンを場に引きずり出すためのトリラー。
初手イベルタルと並んで相手の動きを制限しつつ後発の場づくりを担う。構築上自分で張るトリルがデメリットになりやすいので注意が必要。

技枠がかなり圧迫されていて、特殊主体を黙らせてイベルタルの生存力を上げる回電波、HP調整のための自己再生、ミラーでも打点の変わらず白馬ドレックス用のイカサマと、変更の余地がなかった。

特性についてはもちろん特殊技を使わないのでトレースだが、仮にトライアタックなどを覚えさせた場合でも相手の悪戯心をコピーして先制回電波と吠えられにくいトリルが使えるのでトレースにし得だと思われる。
トリルは張り直し以外にも使うのでPPは増やしている。 

 

ゴリランダー

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性格;いじっぱり @バコウのみ
努力値; 220-204-0-0-84-0(S実数値96)
技;グラススライダー、とんぼがえり、ねこだまし、まもる
調整;A:無振りオーガ確定1発
HD;オーガの雫雨ストリーム確定耐え(失敗)+α

オーガ対策兼猫だまし枠兼地震半減要員で、主に先発でポリゴン2のトリルサポートをするか対雨構築のDMアタッカーとなる。
トルネオーガ対面で初手の択勝負にならないためにバコウのみを持たせて行動保障を得ている。攻撃技にウッドハンマーを入れることもあったが、大概は交換からガオガエンが出てくるので能力値リセットかつバシャーモ着地用も兼ねて蜻蛉帰りにした。

一部カイオーガが原始回帰してきて焦った。 f:id:lime-mint:20210301170714p:plain

 

ツンデツンデ

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性格;ゆうかん @ぼうじんゴーグル
努力値; 252-252-0-0-4-0
技;ジャイロボール、いわなだれ、ボディプレス、まもる

安定のトリルエース。相手がトリルに薄い場合に選出する。
トリル対策がガエンしかいないような世界ではボディプレスは最強だった。

ポリゴン2があまりにも固く、トリルを2回以上張る試合がそこそこあったのでトリルの合間に倒されないように守るをトリルの代わりに採用している。

使用中にバレルが増えてきた印象があったので持ち物はシュカ→ゴーグルにチェンジ。ブラッキートゲキッスが欠伸を打つ場合に備えてラムも検討したが、白馬ドレックスが役割対象になる以上、緊張感で封じられる心配があった。
DM使用率は3割。 

 

ランドロス

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性格;おくびょう @いのちのたま
努力値; 4-0-0-252-0-252
技;だいちのちから、いわなだれそらをとぶ、まもる

対晴れ選出枠。
リザードンは先行ダイロックで倒して天候を奪取でき、バナはダイアースのDバフで耐えられ、グラードンからの打点が低いので採用。霊獣ランドのは晴れ獄炎急所で飛ぶので対策にならない。

基本的に初手DMを切る。初手対面がリザードンだと交代してくることもあったが、天候+リザードン+S有利+DM権がそろうことは初手以外にほとんどないので実質リザードンは倒したといえる。交代先次第で切り返されそうならイベルタルイカサマ(グラ読み)を重ねるかポリゴン2でトリルか怪電波を使う。リザードンの隣にいて1撃でイベルタルランドロスを倒すポケモンはいないので安定行動をとって攻め続けるだけでいい。
結果としてパーティに足りない特殊打点を補い、対ゼクロムやレシラムに火力の下がらない高速地面アタッカーとして、またダイアークで弱体化した相手をワンパンするスイーパーとして活躍してくれた。
DM使用率は1割ちょっと。

 

選出

基本:

先発:f:id:lime-mint:20210301171027g:plain+f:id:lime-mint:20210301170838g:plainorf:id:lime-mint:20210301171013g:plain

後発:f:id:lime-mint:20210301170729g:plain+f:id:lime-mint:20210301171044g:plainorf:id:lime-mint:20210301170838g:plain

対雨系:

先発:

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後発:f:id:lime-mint:20210301170838g:plain+@1

対晴れ系

 先発:f:id:lime-mint:20210301171027g:plain+f:id:lime-mint:20210301170853g:plain

後発:f:id:lime-mint:20210301170729g:plain+f:id:lime-mint:20210301170838g:plain
ツンデツンデがいなくてもポリゴン2でトリルする場合があるので臨機応変に選出は変えていく。 

構築相性など

対白馬ドレックス…微有利
非トリルならポリゴン2イベルタルで白馬ドレックスを削れ、トリル下では大体はDMツンデツンデが通る。最終的にポリゴン2で詰めて勝てる。

対ザシアン...不利
ほとんどがトリル対策をバレルかガエンに依存しているのでポリゴン2をちらつかせつつバシャーモを着地させれば3連守るとピントザシアン以外は大体勝てる。

 対カイオーガ不利
取り巻き次第。グドラが初手に並ぶと択勝負になるが、トルネオーガなら根源両急所2回か素暴風混乱自傷以外有利。 

対ゼルネアス…不利
初手のゼルネアスはバークアウトと怪電波で放置可能なほど弱体化でき、後発でもトリル下のツンデツンデか加速したバシャーモは止まりにくい。また、選出はツンデ対策のランドロスイカサマで大きく削れる)と猫と指(バクアウイングで抜群)でほぼ固定されるため、立ち回りを意識すればイージーウィンできる。
(雪崩4連怯みとシャイン3回急所を除く) 

ディアルガ超不利
初手DMしてくるディアルガが多いため、ゼルネアス同様に素雷麻痺5痺れ。後発のレヒレ用にゴリラ、その他にエースを合わせられたら濁流分身。 

グラードン無理
粉断崖は神との癒着が過ぎる。 

イベルタル有利
イカサマとダイバーンを急所に当てるので勝ち確。

 

戦績

シーズン15(2021年2月)ランクバトルにて最終レート1919(65位)

通算91戦65勝26敗 

3桁周辺の相手でもバシャーモに薄い選出をしてくるのであまりDMエースとして認知されていないのが勝敗を分けることもあったかもしれない。

一般枠では一撃ウーラオスが重めだった。DMしない個体がほとんどだったため何とかなったがもう少し格闘系の対策はすべきだったのかもしれない。

ザシアンはあまりメタられず、むしろ増加している様子だった。黒馬ドレックスが流行るのはこれからなのだろうか。イベルタルはどこへ行ったのか。

本構築では命中不安定技を極力少なくして、守る採用が多く、誰かの構築のアレンジや流行りものに乗らず逆張りし、不利構築と運ゲーにはプレイングでねじ伏せるというあまりにも自分らしい作品となった。

一応レンタルコード付きで公開しているが、スタンダート構築のような相手に合わせたプレイングが求められるため、あまりランクバトルで使い続けることはお勧めしない。けれどもし何かの構築や対策のヒントになったら嬉しい。

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鳥達の1枚。